全盲患者が3倍に!? その原因はなんなの?


2017年8月に衝撃的なニュースが流れました。世界の全盲者が2050年には現在の3倍に増加――約3,600万人から約1億1,500万人にまで増加する可能性があるというのです。
しかも、その影響を受けるのはアジアやアフリカで暮らす人々と指摘されています。

この記事を読んでいる年代の皆さんは、決して他人事ではありません。なぜこのような問題が起きるのか、解説していきたいと思います。

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1.なぜ全盲(失明)が増えるのか

今回の報道でも解説されているように、全盲人口の増加は高齢化が進むことに原因があるとされています。

高齢化と聞くと日本特有の問題という印象を持つかもしれませんが、実は先進国共通の問題であり、とくに中国や韓国などのアジア諸国では日本を上回る速度で高齢化が進行しているといいます。

高齢者の数が増えれば、それだけ加齢に伴って発症する眼病に悩まされる人も増加する。
全盲(失明)が増えるのは、簡単な比例の関係で説明ができます。

ただし、今回の調査では医療技術の向上を考慮されていないといいます。これはかなり大きな問題ですので、次の章で解説していきます。

2.いまだに失明原因世界一は白内障!

世界的に全盲患者増えるといわれる一方で、集団あたりの全盲患者の割合は減少しているというデータがあります。
世界188カ国から収集したデータを基に行った研究では、1990年の0.75%から2015年には0.48%にまで減少したと結論付けています。
また、中程度から重度の視覚障害者の割合も、同期間に3.83%から2.90%に低下しています。
これはまさに、医療技術の進歩によるものです。

眼科学において医療技術は、失明の割合に直結する問題です。
例えば、白内障。日本における白内障による失明率は3%程度で、しかも失明に至ったケースは治療を行わずに放置した場合がほとんどだといいます。日本において白内障は、失明を心配する病気ではありません。
しかし、世界全体で見ると、白内障は失明原因第1位の病気なのです。

医療技術の向上、発展途上国への技術が普及が進めば、決して全盲患者が増えると悲観する必要はないと思われます。

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3.アジアは近視による失明が増える?

この調査には、もう一つ気になる点があります。全盲患者の増加の影響を受けるのは、アフリカやアジアで暮らす人々という指摘です。

ニュースではこの理由について説明されていないので、ここからは推測となりますが、アジア圏の増加については近視患者の異常な増加が関わっていると考えられます。

実は、近視は世界規模で増加しており、近視人口は2012年の調査では約14.4億人(世界人口の約22%)、2020年までに25億人(世界人口の約1/3)にまで増えるという試算があります。

さらに、日本を含めたアジア圏はより顕著に近視が増えており、「近視のパンデミック(世界的大流行)」と呼ばれるほど問題視されており、WHO(世界保健機関)は「ハザードレベル」と表現しています。なんと中国では、20歳の8割が近視というデータもあるのです。

「近視が増えたところで失明はしないでしょ」と思うかもしれませんが、近年は近視の進行が止まらず、強度近視にまで進行してしまう人が増えています。強度近視は日本における失明原因の5位に位置しており、近視と失明は決して無縁ではないのです。

昔から近視から強度近視を発症してしまう人は一定数おり、近視の人が増えれば強度近視の人も増加し、強度近視の人が増えれば失明する人も増える……というわけです。

4.近視の原因は「眼の老化」!

学校や職場で周りをみれば、半数以上は眼鏡やコンタクトレンズを付けていませんか。近視の人が多いことからもわかるように、近視を予防する方法は確立されていません。

実は近視の原因自体、まだはっきりとわかっていないのです。
近視の原因として有力なものに、遺伝と屋外活動の時間の2つがありますが、遺伝子は変えられませんし、学校や会社があるのに外にいる時間なんて増やせないという人が多いでしょう。

そこで取り上げたいのが、慶應義塾大学の坪田教授が提唱する「近視=眼の老化」という考え方。近視は眼軸長(眼の大きさ)が大きくなるために発症するのですが、坪田教授はこの原因を「眼が異常に歳をとる現象」と解釈しているのです。
つまり坪田教授によれば、「できるだけ老化をさせないことが近視抑制につながる」というわけです。

老化の原因は、酸化ストレスによるものが大きいということが明らかになっています。つまり、眼の老化を防ぐためには眼における酸化ストレスを減らしていくことが大切なのです。
そこで期待できるのが、アスタキサンチンやルテイン。

アスタキサンチンは眼精疲労や紫外線障害などに有効である可能性が示唆されており、研究が進められています。

ルテインは目のなかでブルーライトのフィルターとして働いたり、活性酸素を除去する力が確認されています。

ただでさえ現在は、スマートフォンやパソコンなどが手放せず、常に目を酷使している環境に置かれている人ばかり。そのためスマホ老眼など、今までになかった目の不調も表れています。今後のことを考えて、目を労る習慣を心がけるのが大切です。


参考文献

・坪田一男.「あなたのこども、そのままだと近視になります。」.ディスカヴァー・トゥエンティワン,2017,256p.
・内閣府:「5 高齢化の国際的動向|平成28年版高齢社会白書(全体版)」.http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/zenbun/s1_1_5.html

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